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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 新人教育に「ペア制度」
金融危機からの復活を急ぐメガバンク。各行は中小企業向け融資の拡大を競うが、そこでカギを握るのは現場の機動力となる若手の育成。A銀行は今春から入行5年前後の行員がマンツーマンで新人を指導する密着型の教育制度を導入した。全国254支店で熱血指導が始まった。「じゃあ、おたくから5000万円ほど借りようかな」5月中旬、I支店の新人行員、Uさん(24)は取引先の物流会社から融資を獲得した。会社を訪ねたのは6回目。Uさんにとっては初の融資獲得となる。支店に帰ったUさんが真っ先に吉報を伝えたのは、同行で4月に始まった「ペア制度」でUさんを指導するKさん(28)だ。「最初はお客さんのところへ行っても何を話して良いのか分からなかったが、Kさんの営業ぶりを見て、雑談から資金ニーズを探る方法を学んだ」(Uさん)2009年に入行したUさんたちは、最初の1年で預金や為替の仕組みといった座学の研修を終え、全国の支店に配属された。支店配属の510人全員に一人ずつKさんのような「師匠」がつく。師匠役は入行5年前後の先輩行員。最長1年の間に、融資から外国為替まで銀行員の営業で基本となる75項目を教え込む。例えば融資なら必要とされる資金の分析や決済に加え、取引先の金利、担保、与信、格付け……。半年、月次、週次の目標を綿密に立て、一つずつ教えていく。Uさんが任される取引先は年商10億円の中小企業約10社。Kさんは年商50億円超の企業を担当している。Uさんはできる限りKさんに同行し、規模が大きい企業向けの幅広い金融サービスのノウハウを吸収していく。小さな企業を担当する新人にとって学ぶ機会が少ない輸出入に伴う資金決済なども、実地で学べる。文字通り「先輩の背中」を見ながら成長することになる。一般的にメガバンクは金融知識を植え付ける座学型の研修には熱心だが、配属後の教育は支店任せになってきた。I支店のD支店長も「私の入行時は仕事は盗むもので誰も教えてくれなかった」と苦笑する。「教えることで、自分の力もつく」(指導役のKさん)、「体系化した指導が全体の底上げにつながる」(D支店長)と「ペア制度」の評判は上々。しかし導入前には「手とり足とり教えては自力で壁を越える力がつかない」と反対する声もあった。それでも導入に踏み切ったのは、メガバンクを取り巻く環境が大きく変わったからだ。一つは景気低迷を受け資金需要が低迷するなか、中小企業に向けた貸出のテコ入れが急務であること。中小企業を担当する若手行員の育成を急ぐため、A銀行は07年10月から若い営業担当者を対象にした育成プログラムを始めた。「ペア制度」の導入でさらに若手育成を加速する。営業の要となる中堅行員の不足も深刻だ。バブル崩壊後の国内金融危機の影響で、各行では入行10年前後の中堅世代が手薄になっている。これまでよりも早く新人を一人前に育てる必要に迫られているのだ。ところが入行してくるのは「ゆとり世代」の若者たち。「全体的におとなしい」(H法人業務部長)彼らを戦力化するには、話しやすい「兄貴分」をそばに置いて丁寧に育てるのが得策と判断した。若手育成はメガバンク共通の課題。ライバル行もA銀の「ペア制度」の成り行きを注視している。
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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 新人営業マン、チームで育成 競争が苦手で失敗すると立ち直れない。草食系といわれる現代の若者をどうやって一人前の営業マンに育てるか。H社はチーム制の職場内訓練(OJT)を導入した。若手と新人が一対一で1年間タッグを組んだ従来の制度では先輩と新人がともに不満をため込むケースもあった。チーム制で互いの不安や悩みを共有しつつ、チーム内での競争も促す。奈良県の同社研修所で5月中旬に開かれたH社の新人研修会。新人営業マンと指導役、計73人が全国から集まった。新人と指導役のペア3組6人が1つのチームとなってテーブルにつき、議論を始めた。与えられたテーマは「自分たちがこの仕事で成功・成長したら何をもたらすか」。チームでまとめた意見を新人がプレゼンテーションする。「内容はともかく、営業マンの鉄則として『声を大きく出せ』と教えた。それはできていたかな」。和歌山支店から来た指導役のKさん(33)は担当する新入社員のGさん(22)の隣で笑顔を見せた。H社が今年度から始めた「OJTエルダー制度」は入社7〜9年目の先輩社員が1年間、同じ職場の新人を指導する。今回の研修のように、年に数回は3組のペアが集まる。「チームとして適度な競争関係と縦横のきずなを築くため」(人事部のU次長)だ。従来、指導役は入社2〜3年目の社員が担当してきた。年齢が近い方が打ち解けやすく、職場にもなじみやすいと考えたからだが、欠点もあった。若手同士ではトラブルへの対応が不十分になりがちで、性格が合わないと互いに不満をため込んでしまうこともあった。ここ数年の傾向として「人との付き合いが苦手だったり、仕事で問題にぶつかると出社を拒否したりする新人が目に見えて増えてきた」(U次長)ことも、会社の悩みの種だった。そこで指導役を経験を積んだ入社7〜9年目中堅に切り替えた。年に数回のチーム研修では、ほかのペアがどんなOJTをしているかを知ることで、競争心を持たせる。2人の間にたまったガスを抜く狙いもある。5月の研修に参加した新人のGさんは「思っていた以上に同期は営業に出ていた。自分ももっと現場を回らなければと焦った」と打ち明ける。先輩のKさんは「顧客に失礼がないように」とじっくり育てる方針だが、一方で「負けたくないという気持ちこそ、営業マンに欠かせない要素だ」と語る。住宅産業は中長期的に国内市場の縮小が予想される。大手の販売競争も厳しくなるため、営業力アップが欠かせない。H社の人事部が営業部門の新人に与える目標は「2年目に入るときに月1件は顧客提案をできる能力を持っていること」。Gさんは同じ顔ぶれでこの次に集まる10月までに「戸建て住宅を1棟は受注したい」と意気込む。10月の研修では、新人の商品知識や接客スキル、行動計画の組み立てなどについて社内の第三者が評価を下す。担当の新入社員への評価は自身に跳ね返ってくるだけに指導役も必死だ。新しいOJTの仕組みについて、社内では「依然として人事部が作ったマニュアル通りの研修が中心」「新入社員が自ら課題を見つけて考えるような仕掛けも必要だ」などの声がある。今後の課題といえる。それでも本音をぶつけられる先輩や同期の存在は、新入社員のよりどころになっているようだ。
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