−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− インターネットの世界利用率は約9割(総務省調べ)に達し、低コストで迅速にできる「ネットアンケート」が盛んだ。特定商品に関心が高い顧客を対象とする調査に便利であり、個人情報保護法の影響から面接調査の回収率が大幅に低下したこともネットアンケートが増えている一因だ。 回答者の募集方法は目的によって異なる。自社商品に関心がある回答者を広く集めたいなら、懸賞サイトやバナー広告、検索サイトのスポンサー広告などを利用。特定の年齢層や特定地域の居住者など「特定属性」の人を対象にしたければ、調査会社のモニターに依頼するのが一般的だ。自社の顧客だけ対象にするなら、自社のホームページやメルマガ、掲示板、ブログなどからアンケートページに誘導する方法もある。 顧客のメールアドレスがあれば、アンケート票を添付した依頼メールを送るのが最も簡単だ。エクセルなど表計算ソフトで送受信すれば集計も楽になる。アドレスはお買得情報提供のメール会員を募ったり、謝礼品の当選通知にアドレス記入欄を設けたりすれば入手できる。 また、回答者全員に割引クーポンをネット送信するなど、調査謝礼の提供にもネットを活用するのが経済的かつ効果的だ。 ネットアンケートは顧客とのコミュニケーションに有効なツール。収集した属性や購買状況別に販促メールを送るといった活用もできる。ただ、メール配信希望の有無はアンケートで確認することを忘れてはいけない。継続的なアンケート実施により顧客ニーズの変化を調べたり、セールの前後などにタイミングよく実施して販促策を改善したりするなど、手軽さとスピードを最大限生かしたい。 アンケートを契機とした回答者との双方向コミュニケーションを続けるためには、顧客との信頼関係の醸成が重要だ。それにはアンケート結果や改善結果をネット上で公開するのが有効。また、アドレスなどの個人情報の流出防止には紙のアンケート以上に注意を払う必要がある。 対象者の本人確認が困難であったり、消費者の全体像を調べるなど「代表性」のある結果を得るのが難しかったりする点など、ネットアンケートの欠点にも注意が必要。ネットユーザー以外の顧客対策も忘れず、他の調査方法と複合的に活用するのが賢明だ。
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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 意思決定に重要な役割を果たすべきビジネスリサーチだが、品質管理を怠ると誤った判断を導きかねない。 グローバル化や価値観の多様化で調査課題が複雑化すると同時に、多様な調査技法や高度な解析技法が開発されている。オールマイティな調査知識は持ってあらゆる調査を社内でこなすのはもちろん、調査会社の知識・能力の判断や選択さえ難しい。調査会社の企画書や見積書などの点検に、専門家の「セカンドオピニオンサービス」を利用する企業もある。 調査品質は情報の「正確さ」と「有効性」につきる。結果は課題解決に「有効」だったか、次はどんな調査をすべきか検討し、「PDCA」のサイクルで品質改善の循環につなげたい。 「正確さ」についての主なポイントは次の通り。 @調査方法の限界をわきまえる――費用や時間の制約があり、最善の調査方法を選べないこともある。来店客調査では、非来店客や見込み客は把握できていないなど調査方法の限界をわきまえ、調査結果の適用を誤らないよう注意することが必要だ。 A標本の抽出方法と回収率に注意する――千人の顧客を知るのに十人の調査結果で判断するのは危険だといえばわかりやすいが、数が集まれば安心といった錯覚に陥りがちだ。休日の客だけ調べるなど、偏った抽出では偏った結果しか出ない。ネット調査を利用する場合、調査会社のモニターの募集方法、属性分布、なりすましの点検方法などをチェックすべきだ。 B質問の意図を正しく伝える――質問文の解釈が回答者によって異なったり、特定の回答を誘導する質問になったりしないよう、プリテストでチェック。そうしないとせっかくの回答がふいになることもある。 C調査のタイミングを適切に――在宅者対象の調査では、連休時など外出の多い時期には回収率が低下する。季節商品の調査などは調査時期で反応が異なる。 D生データを点検する――回答者の虚偽、調査員の不正、データ入力ミス、集計ミスなど調査品質を損なう落とし穴は多々ある。 E調査のマンネリ化を防ぐ――一部の担当者まかせにして漫然と従来の調査方法を踏襲していたり、トップが無関心でいると、社内全体が情報に鈍感になり、顧客を失う可能性がある。 リサーチの品質確保を願う。
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