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21世紀に企業成長を躍進する『NMR Win メンバーズ』企業にお届けする      
NMR Win News!!       2回発行/月   2009.6.1   Vol.69      
株式会社NMR流通総研 http://www.nmr-inc.jp/                            
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 以前として国際・国内経済とも厳しい状況が続いています・・・
アメリカでは、自同社最大手のGM社が経営破たんし、国内の自動車メーカーの4月の販売台数が
全同月比で50%を下回るなど暗いニュースが多く聞かれています。
しかし、このようなニュースが舞い込む中、今年度の第一四半期が、今月で終わろうとしています。
この厳しい状況の中、打開策を模索している企業・ビジネスパーソンも多いと思います。
このような厳しい状況であるからこそ、企業の組織力強化が、ますます求められてくるといえます。
本メルマガ情報が組織活性化の一助になればと願っています!!

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全4回シリーズ 『感動職場の作り方C』

第1回 

イカした仕事で感動を共有

Iさんへ。今までの求人広告は大金を支払っても全くと言っていいほど効果がありませんでした。(中略)私のお店では、1回の求人広告費を支払うだけでも大きな出費となります。(中略)結果は一目瞭然でした。おかげさまで人材不足から解放されました。(中略)ぜひ今後もこの取り組みを続けてください。私以外にも人手不足に悩んでいるオーナーはまだまだいるのですから」
プレゼンテーションの最後に、顧客であるコンビニエンスストアの1オーナーからの手紙を読み終えて、発表者のI氏(27歳)はぐっとこみ上げるものがあった。メディアディビジョンSA営業統括部第2営業部営業第3グループリーダーのI氏はコンビニ本社に働きかけ、コンビニオーナー向けの求人広告掲載システムを本社負担で作ってもらった。深刻な求人難に見舞われているコンビニ店舗のオーナーがコンピュータを操作するだけで、総合人材サービス会社のI社が運営する求人サイト「A」や「O」に広告を出せるようになった。冒頭の手紙は、何人ものオーナーから「救われたよ」と言われ感無量だった思い出を鮮明によみがえらせた。会場を見渡すと、観客である多くの社員もハンカチで目元を押さえていた。満開の桜の木々に囲まれた今年4月5日土曜日の両国国技館。大相撲の興業日ではなかったにもかかわらず、早朝から約4,000人の男女が次々と発表会場となる館内に吸い込まれていった。彼らは、I社の社員である。特設ステージに社長のK氏が登場すると、場内は水を打ったようにシンと静まり返った。K氏はよく通る声で分かりやすく今年度の戦略を説明していく。もっとも、ここまではよくある年度初めの社員総会の風景そのもの。K氏がステージから立ち去ると、場内はいったん暗闇に包まれた。スポットライトが再点灯すると、ステージ中央に仁王立ちで腕を組む5組10人の社員の姿が浮かび上がった。「イカした仕事大賞決定戦」のファイナリストたちである。I氏も昨年度の最優秀社員を投票で決める同イベントのファイナリストの1人だった。
2004年に始まったイカした仕事大賞イベントは、今年で5回目を迎えた。数値では測りきれない素晴らしい成果を上げた社員の中から最も優れていると思われる人を、会場に集結した全社員の投票で選ぶ。I社にとって価値のある仕事とは何であるかを確認し、価値ある仕事を達成するためのノウハウを共有し、さらに自分自身はこの1年間に価値のある仕事をしていたかどうかを振り返るための絶好の機会となる。つまり、このイベントは「イカした仕事」とは何であるかを全社員全員で再確認する場なのだ。I氏は応募した時の心境をこう説明する。「たった1人を選ぶのにすごく時間をかけるし、ファイナリストの言葉は頭に残る。なんてすごいイベントだ、とずっと思っていた。でも、一方では『あの人たちは特別。自分は違う』と冷めていたのも確かだ。ところが昨年、身近な先輩が決勝戦に進出した。その姿がとてつもなくかっこよくて、自分も優勝を狙おうと決意した。先輩たちみたいに仕事で涙して、この会社に入ってよかったと痛感してみたかった」ファイナリストたちは、事前に社長室室長からこう言われた。「残った5組が成し遂げた仕事はどれも素晴らしく、内容に優劣は付けられない。だから決勝戦は(プレゼンテーションのやり方で)勝ちを目指してほしい」いわば、聞き手側が「自分もあんなかっこいい人のようになりたい」と思えるほどに盛り上げてくれと要請しているわけだ。準備期間はおよそ1カ月。派手な演出に多少の逡巡があったとしても、一緒に仕事をした仲間や、プレゼンテーションの準備を手伝ってくれる周囲の人たちの期待もある。ファイナリストはその期待に応えようとベストを尽くす。聴衆を泣かせるほど感動的なエピソードを持ちより、数枚のスライドと音楽を用意して全社員の前でのプレゼンテーションに臨む。仕事の意義の大きさや、どれだけの情熱を注いでどう成し遂げたかを、7分間という限られた時間で聴衆に強く印象付けて共感させようと苦心を重ねる。
イカした仕事大賞は、1次選考のための応募書類を作成し始めるところから数えるとおよそ4ヵ月もの長期イベントだ。決勝戦だけが仲間の素晴らしい仕事ぶりに感動して会社へのエンゲージメントが高まる瞬間となるわけではない。途中で選考に漏れた社員も感動を味わい、エンゲージメントが高まる仕掛けがある。今回はA4用紙1枚にびっしりと書き込める応募書類の受付を2007年11月に始め、12月に締め切った。統括部長未満の社員は全員応募する義務があり、10人以下ならチームで応募してもいい。1446件の応募があった。つまり、この期間に大半の社員が自分の1年間の仕事ぶりを前向きに振り返り、仕事の達成感や同僚との結び付きを思い出す。2008年になると、計4つのディビジョン(部門)ごとに一般社員やマネジャーなど有志の選考委員が応募書類をふるいにかけた。1月28日に、メールとイントラネット、各部門の朝礼の場を使って、1次選考を通過した31組が発表された。この31組は2月8日までに、プレゼンテーションソフトを使って新たに5枚の2次選考向け資料を作成し、提出した。その後、社長のK氏と有志のマネジャー以上の9人が2月28日までに、資料を評価し、5組のファイナリストを決めた。3月4日にI氏らファイナリストは社長室に呼び出され、勝つために最善の努力をしてプレゼンテーションの準備をしろと言われた。実はここから決勝戦までの間でも毎年たくさんの感動のドラマが生まれる。周囲の協力無くしては、勝てるプレゼンテーション内容を考案するのは容易ではないからだ。I氏の場合、決勝戦直前の5日間は毎日1〜2時間しか睡眠を取らなかった。プレゼンテーションの練習を夜遅くまで繰り返していたからだ。所属ディビジョンの統括部長や直属のマネジャーなど多くの人も業務時間外まで付き合ってくれた。発表の前々日には同じディビジョンの同期十数人の前でプレゼンテーションを披露したものの、7分間の持ち時間に全く収まらない。「みんな、深夜2〜3時まで残ってどんどんアイデアを出してくれたんです。最後にもう1度やってみたらうまくいったのですが、その時に流した曲がすごく良くて、『みんなで大事な時間を過ごせた』とジーンときました」本番では今まで協力してくれた人の顔が次々と頭に浮かび、感動が深まったとI氏はいう。この感動体験は、会社がこのイベントに膨大なエネルギーを注ぎ込み、大掛かりな晴れの舞台を用意してくれたたまものだといえるだろう。
「これは、仲間の仕事ぶりを讃え合うI社らしさを最も象徴するイベントだと思う。一方で、日々の仕事に忙殺され、讃え合う気持ちのゆとりが無くなる職場だってある。だからこそ、このイベントを今後もずっと継続してほしい」今回、見事にグランプリに輝いたキャリアディビジョン採用支援事業部第1統括部ハードウェア第1・第2グループ マネジャーのO氏(29歳)はこう話す。O氏が成し遂げた「イカした仕事」は、社内大学の立ち上げだった。O氏にとってこれは本業ではないし、お金になる仕事をしたわけでもない。そんな仕事が選ばれるところにも、イカした仕事大賞の特徴が表れている。若い社員が多い同社では業務スキル向上のための学習の場を望む声が少なくなかった。会社が急拡大し続けていたので学ぶ仕組みの整備も追いつかない。O氏はこの状況に強い問題意識を抱き、自発的に社内大学の基礎を築いたのである。マネジャーであるO氏は多忙な業務の合間をぬって様々な内容の勉強会を2006年から何度も開催し始め、2007年になると年間100回以上の講座から成るカリキュラムに体系化した。講座はすべて自習もできるようにDVD化してある。2008年4月の決勝戦では、O氏が父親についてのエピソードを語り始めると、I氏のプレゼンテーションの時と同様に、会場の至るところから鼻をすする音が聞こえてきた。入社1年目に他界した父親の言葉O氏の活力の源であることを話した瞬間のことだ。「病院から危篤の連絡を受けた時、接客中で席を立たなかった。父の言葉通り、仕事を一番に考えたからだ。接客後に駆けつけたけど、家族で僕だけ父に最後の挨拶ができなかった。それでも後悔しないでいるためには、これが天職だと言えるだけの仕事をしないといけない。だから走り続けているし、一度止まったら動き出せなくなるかもしれない」I社は今回、ファイナリストたちには内緒で、会場に家族を招待し、さらなる感動を誘った。I社の事例は、強烈な感動体験が社員のエンゲージメントを高めるだけでなく、優れた仕事のノウハウを心に焼き付けることにも役立つことを示唆している。

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本シリーズは、「感動職場の作り方C」を対象にしたテーマですが、このメルマガは、様々な業界の実務事例をもとにした経営情報をご提供していきますので、次回のテーマにもご期待下さい。
また、「こんなテーマをとりあげてほしい。」や「こんなテーマの経営情報がほしい」というリクエストなどがございましたら下記メール宛にご要望をお寄せ下さい。
このメルマガは、皆さんのニーズにしっかりと応えたものにしていきたいと考えております。

リクスエト・ご要望などはこちらへ winmembers@nmr-inc.jp



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バックナンバー
8月号 まちづくり・コンパクトシティ@
9月号 まちづくり・コンパクトシティA
・10月号 まちづくり・コンパクトシティB
11月号 まちづくり・コンパクトシティC
12月号 新規創業・第二創業
07.1月号 シニアマーケット
07.2月号 消費動向
07.3月号 新卒者教育・育成

07.4月号 新卒者教育・言葉遣い
07.5月号 コンパクトシティ
07.6月号 接客スキル

07.7月号 マーケティングリサーチ
・07.8月号 2007年問題 企業の積極的な対応
07.9月号 企業の人財育成
07.10月号 社員の能力評価
07.11月号 マーケティングリサーチの手法
07.12月号 マーケティングリサーチの設計と分析
]
08.01月号 意思決定支援のための
        マーケティングリサーチ
08.02月号 経営改善を図るマーケティングリサーチ

08.03月号 派遣社員の戦力化対策
08.04月号 改正パートタイム労働法
08.05月号 達人に聞いたプレゼンテーションスキル@

08.06月号 達人に聞いたプレゼンテーションスキルA
08.07月号 達人に聞いたプレゼンテーションスキルB
 
08.08月号 社内資格制度の設計と効果的な導入・
        運営について〔第1〜2回〕

08.09月号 社内資格制度の設計と効果的な導入・
        運営について〔第3〜4回〕

08.10月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を
        図る〔第1〜2回〕

08.11月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を
        図る〔第3〜4回〕

08.12月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を
        図る〔第5〜6回〕

09.1月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を
        図る〔第7〜8回〕

09.2月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を
        図る〔第9〜10回〕

09.3月号 感動職場の作り方
09.4月号 感動職場の作り方A
09.5月号 感動職場の作り方B

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21世紀に企業成長を躍進する『NMR Win メンバーズ』企業にお届けする      
NMR Win News!!       2回発行/月   2009.6.16   Vol.70      
株式会社NMR流通総研 http://www.nmr-inc.jp/                            
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 いよいよ感動職場の作り方の最終回を迎えました。これまでの3回シリーズは、御社の職場、
ご自身の職場での参考になった点はあったでしょうか。
是非とも、この全4回シリーズのメルマガ情報なども参考にしていただきながら、職場・組織活性化の
一助としていただきたいと願っております!!

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全4回シリーズ 『感動職場の作り方C』

第2回 

先輩と後輩がともに成長する

「前回相談した案件が獲得できました」「難しい案件だったけど頑張ったね、今度ご馳走するよ」。M社の法人営業部門が若手のRM担当者(営業担当:RMはリレーションシップマネジメントの略)向けに、2007年から開催している勉強会「M塾」のひとコマだ。入社10年目程度の中堅行員が努める塾頭を、様々な支店から集まった2〜4年目までの若手行員約10人が囲み、顧客とのコミュニケーションの取り方などを半年かけて学ぶ。塾頭は会社から指名されるが、若手社員の参加は任意。これまでに505人が参加している。全国で21の塾が開講中だ。M塾は、昔あった独身寮の食堂をイメージして作られた。そこは所属する部署以外の先輩に、気軽に相談できる空間だった。年齢の近い他部署の先輩と食事時間にたまたま一緒になると、抱えている悩みを気軽に相談できた。食事以外の時間でも大きな机を使って書類を広げていると、たまたま居合わせた先輩に仕事のやり方を教えてもらえることもあった。独身寮が主催する飲み会や運動会といった恒例行事も多く、先輩との接点がたくさんあり、強い連帯感を生んでいた。M社の法人営業部門は、中堅・中小企業の顧客が多い。経営者の悩みを引き出す会話術が重要となる。独身寮は顧客との会話術など研修テキストに落とし込めないノウハウや考え方を、先輩から後輩へと受け継ぐ機能を果たしていた。法人グループを担当する常務執行役員のS氏は「私自身も2つの寮で生活していたことがあった。顧客との接し方など多くのことを学んだ寮だった」と振り返る。だが、独身寮が借り上げマンションに変わったり、情報セキュリティーの高度化によって顧客情報が入った案件に関する書類を職場から持ち出せなくなったりと、昔とは大きく環境が変わってしまった。その機能を代替するのがM塾なのだ。
M塾は既存の研修とは一線を画す。人事部門の担当ではなく、営業強化に必要な施策の一環として法人営業部門が独自に取り組んでいる。事務局を担う法人業務部参事役のS氏は「人事評価と連動するものではない。自主性に任せた手弁当の勉強会の会合」と言う。会議室代などの諸経費は会社が負担するものの、運営方法は各塾頭に任せている。勤務終了後の19時頃から、外部の会議室を借りて月1回集まる。「2時間程度議論し、その後は親交を深めるために飲み会を開催する塾が多いようだ」とS氏は話す。研修のように人事部門が段取りをして受け身で参加するのではなく、参加者がそれぞれ会場の予約やレジュメの作成などの役割を担って参加する。S氏と同じく事務局を努める調査役のN氏は「飲み会のように砕けず、会議のようにかしこまらない場を目指している」という。塾では毎回、参加者が今抱えている悩みを題材に議論する。基本的な財務や営業の知識を研修で身に付けても、実際の営業の場では顧客とうまくコミュニケーションが取れなかったり、社内の部門との調整が円滑に進まなかったりして、仕事が進まないことも多い。塾頭は自らの考え方や体験談を一方的に押し付けず、参加者の悩みを聞きながら、研修では教えないテクニックを伝授する。例えば、ある若手行員は不動産を担保にした融資案件が本部の審査部門を通らず悩んでいた。まずほかの参加者で、同じような案件をやったことがあるかを聞き、体験談を話させた。そのうえで塾頭は、自らの経験の中から同じような案件でどう上司を巻き込み、審査部門を説得したのかを話した。ほかの参加者にも「勉強になるから、1回稟議書を書いてみたほうがいい」と1人だけの課題にならずに共有できるように工夫する。ほかの参加者の悩みを、自分が今抱えている悩みに当てはめることで納得し、自らのノウハウにしていくのがM塾の狙いだ。
S氏は各塾頭に対して成功体験だけでなく失敗した体験も話すように依頼している。「仕事ができる先輩」である塾頭でも若いころにはたくさん失敗した。それを話すことが参加者には励みになる。塾頭の1人であるY支店法人営業課で課長代理を務めるI氏は「自らの体験を伝えたいが普段は忙しく伝えにくい。若手に伝えることで自分自身にも気づきがある」と話す。教える立場となって、皆から意見を引き出しつつも、自分の経験をどう伝えれば理解してもらえるのかを学んでいく。後輩を育てることで、組織に貢献している実感を味わえる。M塾が企画された背景には、OJT(職場内訓練)が機能しにくくなってきたという事情がある。不良債権処理に追われて1990年代後半から新卒採用を手控えてきたが、2003年以降採用人数が年間約2,000人と急増し、支店によっては入行5年以内の若手行員が40%を占める支店も出てきた。これでは先輩と後輩の1対1の教え教えられる関係が構築できない。「最前線の現場が若手に代わっている。目指す姿を示してM社での働きがいを感じてもらえるような仕組み作りが必要だった」とS氏は話す。「ほかの支店の先輩とも情報交換ができたことは非常に良い経験となった。新しくできた仲間とのきずなを大切にしていきたい」「職場の中では、なかなか時間をかけて先輩にノウハウや取組み姿勢を聞く機会を作れないので本当に有意義だった」といった意見が参加者から出るなど、M塾は働きがいを見いだせる場として機能し始めた。ある塾では最終回に塾頭を胴上げしたという。「目指す先輩像を見つけられるなど塾がよい刺激になっている」とS氏は手応えを感じている。自主性に任されているM塾だが、実はよりどころとなる行動憲章が存在している「B憲章」がそれだ。M社のRM担当者としての理想像を、優秀なRM担当者50人にヒアリングして10カ条にまとめたものだ。全担当者がこの憲章に基づいて行動できるように、行動憲章を記した名刺大のカードを全員に配っている。ただし「創造せよ。『自分ならでは』を供しているか、常に自問せよ(第10条)」といった全10項目は抽象的であり、人によってとらえ方が異なってしまう危険性がある。この10カ条を肉付けして若手行員にも浸透を図ることが塾の役割だ。行動憲章に沿って塾頭が自らの経験を話すことで憲章を腹に落として理解しやすくする。「銀行の戦力は、人材が全て。これらの取組みを通して育てていきたい」と常務の鈴木は意気込む。
先輩が後輩の面倒を見ることを制度化した先駆者といえるのがA社だ。営業担当の新入社員が5月から8月の仮配属期間中に、先輩社員からみっちり仕事の基本を学ぶ「B制度」の歴史は数十年に及ぶ。従来は配属拠点の上司が先輩社員を指名していたが、2007年からは公募制に変えた。「やらされ意識ではなく、意欲を持って後輩の指導に取り組む人材に新人を任せるため」と人事部副主任のI氏は説明する。先輩社員を務めても人事評価には直接反映しない。それでも新人の世話を進んでやろうとする社員が果たしてどれだけいるか。人事部のそんな懸念は全くの杞憂だった。新入社員48人に対し、名乗りを上げた先輩社員は78人。申請書には「会社の宝である新入社員にA社のDNAを伝えたい」「責任を全うすることを誓います」といった貢献感に満ちた熱い言葉がつづられていた。自分が先輩にしてもらったことを後輩にもしてあげたいという思いの強さは、面倒見が良い風土ならではだ。後輩を教えることは自分の成長にもつながる。公募制の導入に伴い、先輩社員に後輩育成の基本を学ばせる1泊の合宿研修を実施した。「新人には『やる気』はある。『やれる気』を引き出すのが先輩社員の役割」「『叱る』も重要、『怒る』とは違う」。合宿で配布される育成ノートは、A社の新人育成の基本を初めて明文化したものだ。2008年にM支社中央支店で新人のT氏の先輩社員を務めたN氏は、「仕事のやり方や流れを教えるだけが先輩社員の役割ではない。お得意先への姿勢など内面にかかわることを、押し付けにならずにどう教えるかを考えるのは大いに勉強になった」と話す。2カ月みっちり同行した後は、1カ月、T氏1人で得意先を回らせた。その後再び同行したN氏は、1カ月の成長ぶりを褒め、T氏の貢献感を高めた。自分を見守ってくれる職場の先輩達と強い連帯感を感じることがT氏にとって成長への原動力になった。
「人材育成という言葉は当社ではぴんとこない。人は自ら成長していくものだから」。A社常務取締役常務執行役員で人事を統括するK氏はこう話す。「だから仕事の実践の場で成長できるよう様々な支援策を講じる」支援の対象は新入社員だけではない。2007年からスタートさせたキャリアカウンセラー制度は、入社3〜5年目の社員や中途入社の社員をサポートするためのものだ。専任のカウンセラーが数カ月にわたって全国の拠点を行脚し、若手社員の進路相談に乗る。カウンセラーは定年退職した2人のOBだ。目的はあくまでも今後のキャリアパスの相談に乗ることだ。ただし、じっくり対話する過程では社員の悩みも漏れてくる。仕事がマンネリになって閉塞感を感じていたり、伸び悩んで思うような仕事ができないことに焦っていたり。カウンセラーはそうした悩みを受け止め、自分の可能性に気づかせる。聞く姿勢と押し付けがましくなく自分の経験を語る技術、懐の深さを備えた人格者が、カウンセラーに選ばれている。面談の後は、若手社員がカウンセラーを囲んで飲みに行くのが恒例だ。お礼のメールを出す社員も多い。会社を「卒業」しても後輩のために自ら動く大先輩の姿を見て、「自分もああなりたい」という社員の貢献意欲が高まっていく。

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本シリーズは、「感動職場の作り方C」を対象にしたテーマですが、このメルマガは、様々な業界の実務事例をもとにした経営情報をご提供していきますので、次回のテーマにもご期待下さい。
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