−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 岡田さんは現在、人事系コンサルティングファーム最大手のタワーズペリン東京支店で、コミュニケーション部門を率いている。 リストラや報酬制度の改変など社員が反発しがちな施策を企業が実行する際に、社員の理解と同意をどのように形成すべきかを経営者にアドバイスしたり、社員とのコミュニケーションのお膳立てをしたりするチェンジ・インプリメンテーションが専門分野だ。 「その施策がなぜベストの選択と言えるのかを、経営者が社員にきちんと説明できなければ、実行はおぼつかない」と岡田さんは言う。 社員説得に向けた第一段階では、考えられる限りのシナリオを想定し、対策を考える。そこで大事なのは、それまでの経緯を会社側からすべて聞き出すこと。岡田さん自身が、会社の状況を完全に把握していないと、間違った論理構築をしてしまうからだ。 「ただ単に根堀り葉り聞くだけではなく、経営者から”こういう場合はどうすればいい?”と質問してもらえる状態をつくる」ことを心掛けている。 状態を把握したら、次は「いかに社員に施策を説明するか」について岡田さんが経営者に提案する。 この場合、”ロジカルに”話すことは当然必要だが、より重要なのは、相手がロジカルに思考して、納得できるかどうかだ。相手が黙っているのは、こちらの考えが理解できていないのか、検討しているのか、なにも考えていないのか・・・・・さまざまなケースがありうる。どういう状態かを想像しながら、岡田さんは話を進める。 相手が自分で決めていくプロセスをつくる 経営者とのあいだで施策を決めたら、実行に移すために岡田さんが現場に出向くことも多々ある。部課長や組合長など、社員側のリーダー役と議論の下地づくりをするためだ。 彼らの主張を聞いて、会社側の考えとの共通点や相違点を整理する。会社として歩み寄れないことについては、その理由を説明し、理解を求める。 「彼らはこの時点では話の受け手だが、次の段階では自分が部下に説明する立場。当事者意識が高い。批判もするし、厳しい質問もくる。しかし、このプロセスが最も重要だ。彼らが”腑に落ちる”ところまでいかないと、その先へ物事を進めることができない」 対話と交渉の末に彼らの理解を得て、味方につけることができれば大きな力となる。 経営者と話す場合と、管理職や一般社員と話す場合とでは、岡田さんの対応は違ってくる。「現場に近づくほど、持っている情報が少ない。理解にも時間を要する。だから、相手に話してもらう時間を増やす。こちらが質問を受ける役に回ることで、相手が自分の頭で考え、理解し、自分で決めていくプロセスをつくる」のだという。そのためには、あらゆる質問に答えられるだけの準備をしておかなければならない。相手にとってネガティブなことで対話するには、事前の論理構築と準備が不可欠なのだ。 そのうえで、もう一つ欠かせないのが、「話し手のパッション(情熱)」だと言う。相手から話を聞きだす場合でも、自分が説明する場合でも、自分はこの問題に誰よりも強い関心を持ち、真剣に取り組んでいること知ってもらう。 その熱意が相手に伝わらないと、たとえ完璧な準備をしていても、相手は本当に聞く耳をもってくれず、話は空回りになってしまう。論理的説明を、誠意と情熱をもって伝えることが肝要だと言う。
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