−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 顧客の声聞き価値を伝え、顧客のサイン逃さずに応対する そして、顧客の買い物の最終段階について考えてみよう。接客で顧客と応対する店舗で、顧客に購入を促すことを「クロ−ジング」という。言い換えると、顧客に購入の意思を確認する段階ということになる。どの商品を選んだら良いのか判断がつかない顧客の場合、スタッフの側から言い出さないとなかなか決まらないことがある。クロ−ジングがうまくできるかどうかは重要だ。クロージングを掛けるべきタイミングを判断できる才覚があるかどうかが売り上げに大きく影響する。クロージングのタイミングは、まず、顧客の様子から判断する方法がある。店舗に並んでいる多くの商品の中でも、顧客がある特定の商品をじっと見るようになってきた時などだ。たくさんの商品の中で、顧客がどれがいいのか迷っている場合も該当する。顧客は購入すべき商品を絞り込んでいる段階なので、購入を促すクロージングを掛けるタイミングだ。接客中、顧客の側からクロージングのタイミングを示唆するシグナルを発することも多い。この場合の特徴的な動きには、以下のようなものがある。まず、「こんな商品があったらいいのになあ」と、その商品が気に入っていると自ら話し出したとき。「さっき聞いたけど、値段はいくらでした」と、価格を聞きなおしたときや、「商品が届いた時に支払うこともできますか」など、支払い方法の確認や詳しいことを聞いてきたときもこれに当たる。顧客が黙って考え出したときや、商品説明などで話が出尽くしたときもチャンスだ。これらは代表的な一例で、商品や店舗の形態によって、他にもたくさんあるだろう。普段から顧客の動きを注意して見ているとタイミングが判断できるようになる。クロージングの際に勧めるべき商品は、その顧客が比較的長い時間触っている商品や、同じ場所を行ったり来たりして、何度も見ている商品だ。顧客が興味を持っていることは明らかなので、商品を絞って接客することができる。商品選びに迷っているようであれば、顧客の商品への興味の中身を尋ね、その理由を整理。決め手となる情報を伝え、顧客の迷いを解消してあげることが大切だ。販売スタッフは顧客の反応をよく見て対応するよう常に心がけたい。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ |
【バックナンバー】 ・8月号 まちづくり・コンパクトシティ@ ・9月号 まちづくり・コンパクトシティA ・10月号 まちづくり・コンパクトシティB ・11月号 まちづくり・コンパクトシティC ・12月号 新規創業・第二創業 ・07.1月号 シニアマーケット ・07.2月号 消費動向 ・07.3月号 新卒者教育・育成 ・07.4月号 新卒者教育・言葉遣い ・07.5月号 コンパクトシティ ・07.6月号 接客スキル ・07.7月号 マーケティングリサーチ ・07.8月号 2007年問題 企業の積極的な対応 ・07.9月号 企業の人財育成 ・07.10月号 社員の能力評価 ・07.11月号 マーケティングリサーチの手法 ・07.12月号 マーケティングリサーチの設計と分析] ・08.01月号 意思決定支援のための マーケティングリサーチ ・08.02月号 経営改善を図るマーケティングリサーチ ・08.03月号 派遣社員の戦力化対策 ・08.04月号 改正パートタイム労働法 ・08.05月号 達人に聞いたプレゼンテーションスキル@ ・08.06月号 達人に聞いたプレゼンテーションスキルA ・08.07月号 達人に聞いたプレゼンテーションスキルB ・08.08月号 社内資格制度の設計と効果的な導入・ 運営について〔第1〜2回〕 ・08.09月号 社内資格制度の設計と効果的な導入・ 運営について〔第3〜4回〕 ・08.10月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を 図る〔第1〜2回〕 ・08.11月号 接客で感動を与える 競合店との差別化を 図る〔第3〜4回〕 |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− サービスで差 安売り店こそ・・・ そしてお客様のタイプごとに基準を設ける 今回は業態別の接客について考えてみよう。まず、ディスカウント店について。顧客は安さを一番に求めているため、販売価格がどこよりも安いことが一番のサービスになる。こうした店にくる顧客は完ぺきな接客を求めているわけではない。あくまで安さが優先で、接客は必要最小限でいいという考えの顧客が圧倒的に多い。しかし、ここで、あるディスカウント店が接客に力を入れたらどうだろう。「あの店は安いだけではなく、スタッフの対応もきちんとしている」と、競合他店に差を付けることができるのではないだろうか。多くのディスカウント店では、売り場でスタッフをみつけられなかったり、十分な応対をしてくれなかったりする。もし接客していたら売れていた「機会」を失ってしまっていることも多い。これは、食品スーパーなどの場合でも同様だ。こうした業態が接客に力を入れるかどうかは、店舗のコンセプトや経費との兼ね合いもあり、一律には論じられない。ただ、競合他社があまり力を入れていないからこそ、接客レベルを向上させることが他店との違いを打ち出す有効な手段になりうる。一方、高級品を扱うショップの場合、接客に対する顧客の期待が相当に高い。スタッフの側もしっかりとした準備が必要だ。重要なのが笑顔、言葉遣い、身だしなみ、ふるまいの「四つの好印象ポイント」だ。元気がありすぎる笑顔はこうした店舗には合わない。同じ笑顔でも上品な笑顔を意識すべきだ。敬語の使い方は完ぺきでなくてはならない。店舗のグレードに合わせた服装をきちんと着こなす必要がある、ふるまいは、上品さやしなやかさが求められる。グレードの高い商品を販売する場合は、商品知識はもちろん、業界の動きや流行、一般常識、趣味的な領域などについて、話題についていけるように知識を広げる必要がある。グレードが上がれば上がるほど、どんなレベルのスタッフから購入するのかも顧客の選択の基準になってくる。店舗を運営する側から見ると、接客水準を向上させるためには二つの選択肢がある。一つは人員を増やす、もう一つはスタッフ一人ひとりの質を高めることだ。前者は人件費増につながり難しいことも多いが、後者はすぐに取り組める。ぜひスタッフの質を高める努力をしてほしい。 そして、対応が難しい様々なタイプの顧客への接客について考えてみたい。例えば、店舗の対応やスタッフの一挙手一投足について、注文をつけてくる顧客がいる。こうした顧客に接するとき最も大切なことは、嫌がらないで、喜んで対応するようにすることだ。こうした顧客には大きく分けて二つのタイプがある。ひとつは店舗の真のファンで、商品やスタッフの対応に対してこだわりを持っている人だ。もうひとつはいわゆる「クレーマー」で、苦情を言いたいだけの人だ。前者であれば、大きな手落ちがこちらになく、注意や小言のレベルであれば、謙虚に聞くようにすべきだ。「ご注意いただきまして、ありがとうございます」という姿勢で応対することが、周囲の顧客の印象を損なわないためにも大切だ。スタッフが明らかにイヤそうな態度を示したり、言い返したりするようだと、店舗にとってプラスにならない。むしろ顧客の意見を受け入れ、店舗のレベル向上に役立てていくことが得策だ。店の真のファンとクレーマ−の違いを見極めるのは難しいが、クレーマーは店に繰り返し来店したり、他の店でも同様のことを行っているケースが多く、ある程度の区別はできる。クレーマーであっても対応はきちんとすべきだが、無理な注文に対してはできない理由を毅然(きぜん)と示すことも必要だ。一方で、接客の際にあまり話さない顧客もいる。中には、声をかけても全然返事をしてくれない場合もある。顧客があまり話さない理由は、店側への警戒感や、接客を拒否していることが考えられる。「声を掛けてほしくない」という意思表示なので、無理に話し掛けず、アプローチのタイミングになったら再度、声をかけてみよう。顧客の中には、もともと商品知識が豊富だったり、自分で考えて商品を決めたいという人もいる。商品を売り込む強引な接客は好ましくない。自由に店内の商品を見てもらえる店であることが、顧客の居心地の良さにつながる。大切なことは、様々なタイプの顧客に対して店舗としてどういう対応をするか、あらかじめ話し合ったり、指示を出したりしておくことだ。統一した対応をすることが、スタッフのストレスを緩和し、店の印象を高める方策になる。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ |