−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 顧客には、できれば重んじられたい、自分の考えを認めてほしい、自分そのものを受け入れてほしい、という感情がある。それぞれ、「重視」、「承認」、「受容」と呼ぶが、それぞれ配慮すべき感情である。店舗の「馴染み客」や「上位顧客」は、他の顧客よりも重視してほしいという感情を持っている。自分の感覚や好みに自信を持っている顧客は、それを認めてほしいという要求を持っている。新規に来店した顧客は、受け入れてほしいという感情を持っている。顧客が好むスタッフとは、こうした気持ちをくんで接客してくれるスタッフである。顧客の気持ちは単純ではない。例えば「他の顧客と同じような商品がほしい」と思う一方で、「同じ商品ではイヤだ」という思いもある。他人と同じ商品が欲しいと思う気持ちは、仲間はずれにはなりたくない、という帰属意識からきている。人とは違う商品がいいという気持ちは、自分をアピールしたいという欲求の現れだ。顧客によって、こうした相反する感情のバランスが微妙に異なる。複雑な顧客心理まで含めて理解するのが本当のプロの販売スタッフだ。これは商品販売だけではなくサービス業の接客にも当てはまる。逆に顧客が好まないのは、いかにも新人のように見えたり、商品知識が十分でなかったり、話し方に気遣いや配慮が感じられないといったケースである。そうしたスタッフには、顧客は心を閉ざしてしまい、自分の希望や、欲しい商品のイメージを伝えたいと思わなくなる。こうなってしまうと、どんなにがんばって接客しても効果はあがらない。家電やファッション関連商品など、接客次第で売上げの数字が左右される店舗のスタッフは、特に注意したい。顧客には、どんな商品を選ぶのかを、自分自身で考え、そのうえで商品を決めて購入するという人も多い。そんなタイプの顧客に対して商品説明を必要以上に行うのは、単にスタッフの商品知識をひけらかすだけに終わり、逆効果となることさえある。商品説明は適度なペースで話し、応対や言葉遣いに心がこもっていることが大切だ。顧客の買い物意欲を失わせない配慮があふれているのが、満足できる店舗なのである。しっかりしたスタッフに接客を受け、気持ちよく買い物をしたい、と思うのは当然の顧客心理である。接客の際には顧客の心の動きに注意を払い、十分配慮して適切な対応をしたい。 4つの「P」販売に応用 マーケティングの基本的な考え方で、販売活動に不可欠なものに「4つのP」がある。「プロダクト」「プライス」「プレース」「プロモーション」の4つだ。今回は、「4つのP」を小売業の現場に当てはめて考えてみよう。プロダクトとは「製品」のことで、小売業では商品そのものにあたる。プライスは「価格」で商品の販売価格を指す。プレースは「場」で、小売業では「売り場」のこと。プロモーションとは「販売促進」であり、「陳列やPOP(店頭販促物)、提案」にあたる。プロダクト(商品)についての理解を深めておくことは、接客販売においてもとても大切だ。例えば、家電専門店でパソコンを売る場合、販売スタッフが機種ごとの違いや特徴も含めた商品知識を身に付けておくことが欠かせない。プライス(販売価格)については、どんな値付けをすれば商品がよく売れるのか注意を払う必要がある。「プレース」(売り場)に関しては、商品を売り場のどこに置いて売れば最も効果的か、常に考えるようにしたい。いずれも商品を販売するにあたって重要だが、接客に関して言うと、中でもプロモーション(販売促進)が大切になる。
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−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 今回は顧客の欲求について考えてみよう。顧客が店舗に求めている基本的なニーズは三つある。「受容」と「承認」と「重視」だ。「受容」は店舗に「受け入れてほしい」という欲求のことだ。これが一番基本的なニーズとなる。来店した顧客は、店に気持ちよく迎えてほしいと思っている。店に入ってもあいさつをされなかったり、なんとなく冷たい対応をされた気がしたりすると、それだけで顧客の購買意欲は薄れてしまう。あいさつを忘れず、どの顧客にも礼儀正しく応対することは接客業の基本だ。顧客が来店しても「こんにちは」とか「いらっしゃいませ」という言葉がでない店舗は、顧客の「受容」ニーズを満たしていないことになる。 リピート客印象が左右
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